探偵物語

「人を探してほしい」

ちょっと待って。

「探偵物語」に憧れ、

探偵のアルバイトをしていたのは

35年前の事

でもその依頼は本気だった。

友人の奥さんがお亡くなりになった。

急に独りになったら、

自分の昔を知っている人に

会って話がしたくなったらしい。

自分の人生を振り返りたくなった？ということ

彼は私より一回り半も年上だが、

私も56歳、彼が理解できるようになった。

その昔

これ以上動けない！と窮地にたった時、

医者である彼は診療所のベッドを一つ空け、

栄養満点の点滴を打ってくれた。

そんな友人の頼みに

「断る」という言葉はでてこない。

オッケー！

誰を探せば？

彼が下を向いた瞬間に、

誰だかは何となく分かった気がした。

昔の彼女だよ。

やっぱり。

昔、私が働いていた探偵局は2社共に閉業していたので

結局、私が調べる事になりそう・・・・

でも何だかニヤニヤしてくる

20代の感覚が、内側からムズッと起き上がってきたような

そんな感覚

これを機に

私も昔の自分を探してみるか。

あのテーマ曲を聴きながら